1


別名≪魔界の花園≫とも呼ばれている華龍族の町、マライテスの荒廃を阻止したリタ、ヨゼフ、ナンシーは、新たな目的地が二つある≪グロッディオス島≫に向かっている。


だが、この島はファナンディス島よりもかなり南にあるため、一日を船の中で過ごさなければならない。


リタ達は想像している以上に長い旅になるだろうと思い、昼寝をしていた。


夢の中でリタは、ヨゼフやナンシー、そしてその他の龍戦士達を纏めていた。


(何だろう? この緊迫感は。


私に、龍戦士達のリーダーを務めろと言うのか?)


目を瞑りながら浮かんでくる情景に、リタは違和感と不安を覚えた。


以前は父上が砂龍王を引退し、私が新たな砂龍族の王になる夢だった。


私は、二つの役目を背負っているだけに過ぎないのだろうか?


一つ目の顔は、フィブラス王女。


いずれはあのポラテルド公子か国内の執務大臣の次男、それとも親友のヨゼフを婿にし、フィブラス国王である父の跡を継ぐ。


これには、フィブラスの運命が架かっている。


父は私に、「お前が一番好きな魔族と結婚すれば、必ずうまくいく」と、いつも言っている。


もう一つの顔は、砂龍神デュラックの力を受け継ぐ砂龍戦士。


やはりこれにも、フィブラスの運命が架かっている。


また、この魔界の運命も、私達の手に委ねられている。


リタは深刻に考えれば考えるほど眠りが浅くなり、次第に目を覚ます。


(やっぱり、あれは夢なのか……。


そうだよね、私なんかに、龍戦士のリーダーや砂龍女王なんて務まりはしないし)


リタは苦笑していた。


辛い過去を乗り越え、ここまで来れた。


でもそれは、将来の出来事とは全く関係のないことだ。


リタはそう思っていた。