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氷龍族の魔族達が住むポラテルド公国の公子、アイルが新たな氷龍戦士として目覚め、彼もまた国を守るために力を使うのだろう。


リタは、そう推測していた。


三人は今、タハナビ島行きの船に乗っている。


タハナビ島は、ポラテルド島から南に六十キロ離れた所にある、岩石と自然に恵まれた島だ。


タハナビ以外にも自然に恵まれた島は幾つかあるけれど、気候が安定しているのは、その島以外にはない。


三人はいつものように地図を広げ、一緒に目的地を確認している。


「タハナビ島には、二つ行くべき場所があるね。


一つは、岩龍族の故郷、ギルネスの街。


もう一つは、風龍族の故郷、ランデス村。


どっちから行く?」


「そうだな……。


まずは、停船場から近いギルネスの街から。


そこからしばらく行った所で野宿してから、ランデス村に行くというのはどう?」


「なるほど。それは良い考えだね。じゃあ、そうしよう」


こうして、三人は岩龍族という種族の里であるギルネスの街に行くことになった。


彼女達が目的地を決めた頃、船のアナウンスが、島への到着が間近であることを告げた。


「間もなく、この船はタハナビ島に到着します。お降りの際は、お忘れ物がないよう、ご注意下さい」


アナウンスの忠告通り、周りをよく見ながらリタ達は船から降りる。


島に着いた途端に、ヨゼフは張り切っていた。


「よし、本領発揮といくか。これ以上魔道族の奴らに、良い顔されてたまるか!」


ヨゼフは、早くも気合いを入れていた。


このようになった彼を止めることができた魔族は、誰一人いない。


「ヨゼフったら、凄く燃えてるわね」


「まあ、ポラテルド公国では風邪で倒れてたからね。


結局、あの神殿はヨゼフ抜きで冒険することになったね」