氷龍神ガトラの神殿での冒険を終え、リタ達はポラテルドの氷龍城に帰ってきた。


「なんだかこうしてると、私達二人も久々に城に戻ったみたいね」


「そうだね。それより、ヨゼフの風邪は治ったかな?」


二人がヨゼフのことを気にかけていると、彼は礼儀正しそうな少女と話していた。


少女の鬣や目は金色で、可愛らしい巻き髪になっている。


その姿は、どことなく誰かに似ている。


「フラッペ……」


「お兄様、お帰りなさいませ。


何日も帰って来ないので、お父様が心配なさっていましたわ」


久々に帰国したアイルに対して、少女は丁寧に接する。


アイルはヨゼフを見て、首を傾げる。


「あなた方以外にも、この城にお客様がいらっしゃる?」


「ああ、紹介するよ。


彼はヨゼフ。


水龍族の出身の、私達の友達さ。


ちなみに、彼も龍戦士の一人だ」


「よろしくな、アイル公子様」


リタの紹介に続き、ヨゼフはウィンクをして挨拶した。


アイルもリタ達に、少女を紹介する。


「僕の妹のフラッペです。


言わば、この公国の公女ですね。


ところで、ヨゼフさんはなぜ、今僕の名前がわかったのですか?」


「簡単なことさ。


フラッペ公女に、君のことを聞いたんだ。


君がおっちょこちょいな公子だ、というところもね」


ヨゼフの言葉を聞き、アイルは公女を睨みつけた。


(フラッペ、お前は僕がいない間に、余計なことを。


本当は兄として、こいつを叱らなきゃいけないけど……)


仮に妹を叱ると、逆上した時が怖い。


アイルはそのようなことを考え、今回も彼女を叱らないようにした。


「仲間と合流したことだし、玉座の間に行きましょう。船の時間もあるし」


ナンシーの意見に従い、五人は玉座の間に向かう。


その部屋では、ルース大公やアルトナ公妃を始め、城の魔族全員がアイルの安否を気遣っていた。