「?」

 懐中電灯でも入れているのだろうか? 電源を切り忘れてでもいるのかと怪訝な表情を浮かべる。

 1人で佇むロッカー室は、なんとなく気分まで寒くさせるのか傾きかけた太陽が窓のふちをくっきりと室内に形作る。

 とりあえずコートを着て恐る恐る隣のロッカーに手をかけた。

 確かここは数学の斉藤先生のロッカーだ。

 あの先生は男のくせに色々と細かくて少々困る時があるのだが、すでに帰宅している。

「……」

 なんとなく回りを数回、見回し扉を開いていった──

「!? ほえっ!?」

 3分の1ほど開いた時点で体が吸い寄せられる感覚になる。

 扉が勢いよく開かれて、まばゆい光りが信士の視界を奪った。