夢宵奇譚~飛んでハッスル~

「お邪魔します」

 リビングに案内され、品の良いカバーが被せられた2人掛けソファに腰を落とす。

「毎日、大変だよね」

 顔はこらえきれずに笑みが浮かんでいる。

 他人事だと思って楽しんでるな……怒りたい気持ちを抑えつつ、信士は薄笑いで応えた。

「あら、お客さん?」

「!」

 信士は女性の声にハッとして、そちらに視線を移した。

 そこにいたのは、可憐で清楚な美人──思わず息を呑み、失礼にも視線が釘付けになる。

「姉ちゃん」

「! 君のお姉さんなのか」

 そういえば、どことなく顔立ちが似ている。

 こんな美麗な2人を産んだご両親って一体……と思わずにはいられない。