そんなこんなで世界は続く──多少の憂鬱を抱えつつ、信士は学校に向かった。

 ロッカーや扉、筆箱を開ける時のビクつきと言ったら笑える。信士は心の中でつぶやいた。

 しかし、今日はどうしてだが飛ばされる気配が無い。

 なんだかんだで放課後になったではないか、ホッとして帰り支度のために筆箱を確認した──

「どおおおっ!?」

「こんちは」

 驚いている信士に少年は明るく応える。

「また君か……」

「今度はなに?」

「筆箱」

 飛ばされた先はまたもや葛城 美南(ミナミ)という少年の目の前で、やはり町内だった。