言わずもがな、目の前にいる少年が原因だ。

 自分が女じゃなくて信士はなんとなく安心した。

 きっと女だったら、今頃は嫉妬の視線に針のむしろだろう。

「でもさ、なんでオレが3回も鉢合わせしたわけ?」

「それは俺も知りたいよ。偶然としか思えないけど」

「次にまた鉢合わせしたら偶然じゃないかもね」

「そもそも飛ばされたくありません」

 肩を落として大きく溜息を吐く信士に、少年はクスッと笑った。

 人間が突然、目の前に現れる理由は解った事だしひとまずは安心だ。

 自分が直接、巻き込まれている訳ではない少年は物見遊山な感覚になる。

 そうだ、こんな面白いものはない。