とりあえず落ち着いた喫茶店に入り、2人はコーヒーを注文した。

「ふーん」

 一通り話を聞いた少年がそっけない言葉を返すし、説明を終えてほっとする信士を見やる。

「初めはロッカーで、次が扉で、今日は弁当箱のフタね」

「俺だって信じられないけど実際に飛ばされてるし、飛ばされる条件も解らない」

 信士はうなだれて弱々しい声で応えた。

「とにかく、開くものならなんでもいけそうだよな」

「まさか弁当までとは思わなかったなぁ……はっはっはっ」

 乾いた笑いをこぼし、力なくコーヒーを傾ける。

 そんな間でも客だけでなく、ウエイトレスまでがこちらにチラチラと視線を向けていた。理由はわかっている。