「言いたくないの?」

「というよりも、どう言っていいのか……」

「あのウワサと関係あんの?」

「! よく知ってるね」

「わりと有名だから」

 そんな2人の会話を、下校中の生徒たちがさりげに視線を投げていく。

 いつもはそれほど注目されない信士はいぶかしげに感じていたが、なるほど少年の顔立ちにみんな見ていくのだと気がついた。

 どこかに移動した方がいいかな……と思う頃には、すでに下校生徒はおらず2人は寒空の中ぽつんと正門に立っていた。

「と、とりあえず寒いね。どこか別の場所で話そう」

 クイと人差し指でメガネをあげた信士に少年は眉をひそめる。