「!」

 正門まで来ると少年の姿を目にして、昼間の約束を思い出す。

 少年も信士の姿を捉え向き直った。

「やっぱり覚えてた?」

「あたりまえ」

 愛想笑いで頭をかく男に、少年は目を据わらせて溜息を吐く。

「君の名前は? 俺は早乙女 信士」

「葛城 美南(ミナミ)」

 決まった紹介を済ませたあと、沈黙が辺りを支配する。

「……オレ自己紹介するために待ってたんじゃないんだけど」

「そうだろうねぇ~」

 信士は笑みを固めて応えた。