「あら、早乙女先生どこに行ってらしたのです?」

 女性教諭が、職員室に息切らせて入ってきた信士に呑気な声を上げた。

「あ、ああ。ちょっとトイレに……あはははは」

 箸を持ってトイレにいくバカはいないと思われるが、とりあえずその場をしのいだ。

 弁当をかきこむと、昼休憩の終わりを告げるベルが学校中に広がった。

 それからどこかに飛ばされる事は無かったが、毎度ドアや何かを開く時にはビクついてしまい、それを見た生徒たちはいぶかしげに信士を見つめていた。

 そうして、いつものように授業は終わりを迎え、どの部の顧問にもなっていない信士はビクつきながらロッカーを開き学校をあとにした。