「……」

 一足、余分な靴にあの時の事を思い出し溜息混じりにバッグに詰める。

 そして、ロッカー室を出ようと扉を開けた刹那──

「のわっ!?」

 まばゆい光りに包まれて気がつけば……

「なんだここ!? 駅前か!?」

 聞き慣れた音が先に耳に響く。

 このけたたましい音楽とガラガラという音はパチンコ屋だ、その裏手に飛ばされたらしい。

 信士は慌てて室内履きからバッグの中の靴に履き替えて通りに出た。

「あ」

「あ」

 見覚えのある顔……昨日の少年だ。

「あんた……あっ!? ちょっと!」

 嬉しくない偶然!

 呼び止める少年には目もくれず信士はすぐに駆けだした。