「ここの7階の201号室で入ってる九条なのですが…」
「新入りの子ね。
ちょっと待っててね」
そう言うと、
カウンターの女性はカタカタとパソコンを指で叩く。
「九条………ねぇ君、
九条さんは女の子って書いてあるんだけど」
そうだった、
僕は九条さんの執事って立場だった。
「君は誰かな??
身元が分からないなら、
捕まえちゃうよ」
「えっと………
僕は九条さつきさんの執事でして………」
「執事〜??
君みたいな小さな子が??」
なんだか信じてもらえてないようだ。
それに、
小さな子って………
少し泣けてきた………
「私が九条さつき。
この子はれっきとした私の執事よ」
僕がもたもたしてるせいで九条さんが来てしまった。
「あなたが九条さつきさん??
じゃあちょっと生徒証見せて」
「いいわよ」
九条さんは胸ポケットから生徒証を出すと、
カウンターの女性に差し出した。
「………はい、
照合完了しました。
ようこそ楔山学院生徒寮棟へ」
「これは部屋の鍵、
オートロックだから気を付けてね。
自己紹介が遅れたわね、
私は生徒寮棟のコンシェルジュの國見春風(クニミハルカ)。
今後ともよろしくね」
「よろしくお願いいたしますわ、
國見さん。
それと、
私の葵をあまりいじめないであげて」
「あら、
可愛かったからちょっとやり過ぎただけよ。
君もごめんねっ」
「は、はあ………」
この寮棟のコンシェルジュさんはなかなか強烈的だった。