あの日の事は、今でも鮮明に覚えている。 心に絶望と恐怖が訪れたのは本当に一瞬で、何もかもが恐く見えた。 小さなものを奪った黒い塊は得体のしれないものに見えて、赤い夕焼けには更に濃い赤が増えて、震える足は自分のものじゃないように思えて。 叫び声すら恐ろしくて、ただひたすらに走って逃げた。 手に小さな、星を掴んで。