「転校生名前まだ言わないんだって」
「なんか指名手配犯だって噂だけど!?」
「なんかおとぎばなしの王子様みたいだったんだけど」
「あの外見で喧嘩強いらしいけど!?」
―――黙れ。
名前なんて言わなくても生活できるだろ
指名手配犯だったらこんな堂々と生活しませんー
俺女だからどっちかっていったら姫だから
喧嘩強いってのはあってるけどさ
全ての噂に心の中で答え、俺は再び歩き出した
・・・・・・・・・はぁ
なんだかんだだんだんこうやっていい子ちゃんの仮面被るのにも飽きてきた
なんか一気に学校楽しく出来ないかな・・・?
「佐伯君ー」
突如背後から名前を呼ばれて振り向くとそこにはパタパタと可愛らしく走ってくる隼がいた
「まぢで隼変わってネェんだな」
やべっ口が滑った
「ほぇ?何々何のことぉ?」
「なんでもないよ。ところで彪峰は何か用事あったんだろ?
じゃなきゃ誰も俺には話しかけてこないもんな」
いつのまにか・・・護が気を利かせたんだろう
俺に下手に関る奴は誰一人としていなかった
「そうそう今度の体育祭委員長に佐伯君に決まってたけど?」
「へ?」
体育祭委員長?
ってか俺体育祭とかでないし!俺でたら余裕で一位獲っちゃうよ?(笑)
「あと、コレは陸からの伝言なんだけど
『お前が体育祭委員になったからには俺の脚を引っ張るな!あと参加しないとか論外だから』だって
あ!そうだねぇねぇ佐伯君、佐伯君ちってドコ?」
ねぇよ・・・ソレが事実だったけど(だってアレはホテルだし・・・)なぜか隼にはソレを言っちゃいけない気がした
「家?結構遠いかな」
曖昧にごまかすと隼が不思議そうに首をかしげた
「・・・そうだ!逆に聞くけど彪峰って長澤美舞って知ってる?」
話をそらそう。そう思って隼が黙るであろう話を口にした
案の定隼の表情は一瞬にして凍りついた
