「編集長みたいな人、きっと化けると思うんです!」



化けるって!

「こら、あず……」

「うーん、僕は遠慮しておきます」


諌めようとした私より早く、編集長は緩やかな調子で断った。



特に怒っている様子もない。



「残念です……」

「はは。それより七瀬さん。七瀬さんの原稿は、明日が〆切りですからね」


「は、はいっ」


まだ原稿を出していなかったらしく、返事だけして「お先に失礼します!」と逃げ去って行った。


「君も。お疲れ様でした」

「あ、はい。お疲れ様でした。失礼します」



促すように言われて、私もそのまま部屋を出た。