「…………」 編集長を見送って仮眠室に入ってすぐ、ずるずると下にへたりこんだ。 期待される嬉しさと、さっきの手の感触と、優しさ。……思い出すだけで、顔が熱い。 好き。 これは多分、その感情だ。 今更の初恋に、私は戸惑うばかりで。 「……ばれないように、しないと」 ただ、それだけが理解できた。 出来るだけ普通に過ごさないといけない。 「うん、よし」 感情を認めてしまうと、案外すんなり考えが纏まった。