「はい」


「広告の案なんだけど」

穏やかな口調で、眉をハの字にした編集長が話しはじめた。


「……はい」


やっぱり夢だったのかも。

そう思った時、編集長がトントン、と人差し指で自分のデスクを叩く。


「?」


その指先を見遣ると。


「!」


『真面目にやれ』と紙に殴り書きされている。

夢じゃない。


「案を明日までに提出してくれるかな」


「は、はい!」

この本人の態度と紙に書かれた態度の差。


……なんか、調子狂うなあ。
そんな事を考えながら、慌ててデスクに戻って仕事を始めた。