豹変上司に初恋中。


「良いんだよ。お前恋愛とか興味ないんだろ。前聞いた」

「……」


つまり、恋愛されるのが嫌って事か。


……本当に、それだけなのかな。

まだ何かを隠しているような気がした。


でも、聞いても面倒臭そうに溜息をつくに違いない。


「あの、どこに行くんですか?」

「料亭」

「料亭!? わ、私今日そんなに……」


お金持ってきてない!

慌てていると、呆れたように私を見る。

「これは礼なんだからお前は気にしなくて良いんだよ」

「で、でも……」

「黙って座ってろ」

うう……優しくない。
私は黙り込んだ。


滑らかに、車が道路を走っていく。

私は空腹感を今更感じながら、二人だけで食事なんて何を話せば良いんだろう、と少し不安になっていた。