豹変上司に初恋中。


クシャッと頭を撫でて、昴さんが離れていく。

「冗談だ」

「え、あ……」

真っ赤になったまま上手く言葉が離せない私に、昴さんはもう一度微笑んだ。


「今は、手出さない」

「!」


そういいながら、昴さんはベッドから降りて軽く伸びをする。


「華織、今日予定は入ってるか?」

呼ばれる名前に、少し照れくささを感じながら。

一度手帳に書き込んだ内容を思い出してみて、なかったと確認する。

「空いてます」

「よし」

昴さんは頷いて、私の方を向き直った。


「荷物を取りに行きたい」

「荷物? 誰の?」

「華織の。暫くの間、此処に居ろ」


そんな要望を言われて、私は思わず首を傾げる。

え?

それって。


暫くの間、ここに。この部屋にいる?