「ちょっ……」 「良いから、合わせろ」 いきなり耳元で囁かれて、身体が硬直する。 「じゃーな。お前もう少し人疑えよ、オジョーサマ」 「待って、昴……!」 まだ叫ぶ女の人を無視して、すたすたと歩き出す。 オジョーサマ……って、嫌な感じだなぁ、この人。 昴は昴でも、編集長とは大違い…………って。 「昴?」 「んだよ」 「あの、どちら様、ですか?」 「あぁ? 今名前呼んだじゃねーか」 動転した私の問い掛けに、怪訝そうな顔で言葉を返す。