「……」

一度言葉を飲み込んで、私はまた口を開く。

「最低です」


気が付いたら、言葉にしていた。
駄目だと分かっているのに、涙が零れる。


「貴方を好きな感情は、気の迷いにされてしまうんですか!? じゃあ、」

ああ、ダメ。
これ以上は…

頭では理解できているのに、口は止まってくれなかった。


そして私は、とうとう口にしてしまっていた。


「私……私のこの感情も、気の迷いなんですか!?」

「……」

「私達だって、気付いたら好きになってて、止めたくても止められなくて、それなのに……っ」


一気に問いかけて、言葉に詰まる。




……なんで。

なんで、そんな顔して聞いてるんですか、昴さん。



とても悲しげな表情だった。

その後、まるで、自分の感情を全部押しつぶしたみたいに色のない表情を見せる。

「……っ、失礼します!」


その顔は、私の声なんて何も届いてないような気すらして、私は礼をして部屋を飛び出した。