「昴さん、」

「気に食わない」


なんていえばいいかも分からず、名前を呼ぶ私の言葉を遮って、何かを呟いた。

「え?」

聞こえなくて聞き返すと、ハッとしたような顔をする。



「なんでもない。……とにかく、余計な事をするな」

「……」

「俺が何のためにあの恰好をしてると思ってる」


何のため……
首を傾げると、彼は軽く息を吐いて言葉を続けた。


「言っただろ。仕事で必要以上に近付けないため、だ」

あ……。


「俺は編集長という立場上、これから先、部下の失敗を背負う事なんて幾らでもある。一度助けただけなのに、恋愛感情をもたれたら困るだろう。……そんなのは、気の迷いだ」

「!!!」

酷い……!!