「・・・あれ?」

しばらくすると飛我は部屋を見回り始めた。

「?」

「えっ・・・あれ?うそ・・・」

何かを探してる?
だんだん飛我の落ち着きがなくなってきた。

なんでか、焦っている。

「どうしようっ・・・どこいったんだろう」

「どうしたの?」

俺はふいに聞いてみた。

「は、母の形見がないんです・・・っ」

「形見?」

「髪飾り、椿が付いてる髪飾り・・・」

飛我は髪をかきあげたり、指を噛んだりしていた。
そうとう慌ててる。



『母の形見』



凄い、大事にしてるものなんだろうな。

「今日、付けようと思ってどっかに置いちゃったとかはないの?」

「いえ、今日は朝しか手に取ってません。いつもはそこの棚の中に入れてるのに・・・」

そういうと飛我はベッドの上に座り込んで考え込んだ。
眉間にしわをよせてる。

「どうしよう、見つかんない・・・っ」

飛我は今にも泣きそうだ。

「・・・飛我」

「え・・・?」



パシッ



「むぐ!?」

俺は飛我のほっぺを両手で挟んだ。

「落ち着け飛我、笑って!泣くんじゃなくて笑えっ!!」

急に変な事を言い出した俺に呆気に取られてる。
そんな飛我が凄く可愛くて。





「笑わないと、キスしちゃうぞっ!?」





「え・・・ぇええっ!?!?///」


 〜燕〜 


き、キスっ・・・!?
え、は、何ですか!?

驚いている私を無視して、桜君はどんどん私に近づいてきていた。
唇が近づくにつれ、私の鼓動が激しくなる。

「(う・・・うそ・・・っ!///)」