夕暮れキャンバス




1秒ごとに微妙な変化を見せる空に魅せられたあたしたちは、しばらく無言だった。



そんな心地よい静寂を先に破ったのは春のほうで











「俺、ちかと別れたんだ。」










いきなり本題をきりだした。






「・・・・うん。」






他に気の利いた一言、って考えたけどあたしの口から出たのはこんなんだった。




頭の中でぐるぐるまわるのは
春とちかちゃん、お似合いだったのにね。
とか
おとぎ話の王子様とお姫様みたいだったのにもうみれなくなって残念、
とか
どうしてわかれたの?
とか。



そういう下世話なことばっかりで、べつにそんなこと聞きたいわけじゃないのに。

春を悲しませたいわけじゃけしてないのに。




頭の中をまわるのはそういうことばっかりだったから口を閉ざした。