優ちゃんは俺のその言葉に、困ったような顔をして笑った


優ちゃんがこんな顔をする理由が俺には思い付かない


でも何だろう?
胸騒ぎが止まらない


何かが俺を制止する


これ以上聞くなと
聞かずに教室に戻れと


けれど俺はその何かを無視して
優ちゃんに聞き返した



「優ちゃん、何…?」


「うん…あ~…えっとね…」


「うん…」


「昨日の帰りに…」


「うん」


「菜々が凍った道で滑って…」


優ちゃんはそこまで言って、やっぱり言いにくそうに俺から目を反らした


なんだ?
菜々子が道で滑って頭でも打ったとか?


でもそれじゃ普通の話だ
何も隠しだてする必用なんて…


「浬世也~…」


そんな俺の考えを遮るように菜々子の声が聞こえて、俺は窓の外を見つめ続ける菜々子に視線を戻した