俺は菜々子の寝顔を見つめながら菜々子の顔に自分の顔を近づけてみた
菜々子は起きる様子もない
食べ物の夢でも見てるんだろう、時折ニッコリ笑いながら気持ち良さそうに眠り続けている
俺は菜々子の寝顔を見つめながら
菜々子のこれから来る未来のことを考えていた
いつか菜々子も誰かに恋をして
そいつと上手くいって
キスをする日がくるだろう
でもそれは俺じゃない
俺であってはいけない
何度も何度も自分に言い聞かせてきたこと
今更確認する必要なんてない
それなのにその事を考えるだけで胸の苦しさは消えるどころか、ドンドン重さを増していく
俺たちがお互いに想い合う日が来ないなら
今ここで
俺だけしか知らない秘密を作ろうか
それが罪深いことでも
罰なら何だって受けるから
俺は菜々子の唇に自分の唇を押し当てていた



