「てめぇっ」
花桜さんが言い放った言葉に対して、
周囲がどよめき立つ。
そして土方さんと呼ばれた人が何かを言いかけた時、
芹沢さんの鉄扇が彼の顎先を捕えた。
「歳、それまでだ。
芹沢先生も、その鉄扇をどうぞ納めてください」
「山波くん、君も君ですよ。
このような場で紡ぐべき言葉ではないでしょう。
今は任務中ですよ」
穏やかな口調で厳しい言葉を降らせる人。
「近藤さん、山南さん、すいませんでした。
でも許せなかったんです。
土方さんのことが。
ずっと私の大切な人を疑ってばっかりで。
私のことも、受け入れてくれなくて。
だから……一度、ガツンと言いたかったんです。
私の祖父が言ってた大切な言葉だから」
「そうだな。
確かに……山波君の言葉も今の歳には必要かも知れないな。
まずは味方を信じる。
味方を信じて、己を信じて道を信じる。
いいなっ、歳。
まずは味方を信じるんだぞ。
加賀くんだったか。
山波くんの大切な友達だ。
仲間が信じてる君だ。
私も信じよう。
それでいいか?山波くん」
そう言い切った、近藤さんと呼ばれた存在は
器の大きさを少し感じさせた。
「あぁ、愉快。愉快。
気に入った、山波花桜。
土方や近藤に愛想をつかしたら何時でも俺のところに来い」
芹沢さんなんて上機嫌に宣言して……。
そんな芹沢さんをただ睨みながら、
何か言い返す言葉を探してる印象の花桜さん。
ふと、音もなく姿を見せた黒い忍び服の存在。
「副長」
そう告げると土方さんの傍に歩みを寄せて
耳元で何かを紡ぐ。
そしてその人はそのまま……
花桜さんの方へと近づいていく。
「お帰りなさい。
山崎さん」
「あぁ、花桜ちゃん。
終わったらまた街にでかけよか。
今度は糠袋【ぬかぶくろ】でもつこうてみるか?」



