その後を追うように、
近藤さんたちを後を追いかける。



「瑠花っ。
 私も出掛けてくる。

 まだ戦えるかどうかなんて自信ないけど
 誰だって、初めてはあるでしょ。

 私、この世界で生きるって決めたんだから。

 舞とも会えるかも知れないし」



急ぎ早にそう告げると、
その隊列に加わって邸を出て行った。





八月十八日の政変かぁ。






大好きな歴史を思い出して一人戻った前川邸の自室で
心の中、呟く。



目を閉じて思い出す歴史。



ドラマやら、何やらいろんな情報が入り混じった
出来事ではあるけれど確か……こうだっはず。


隊列を組んで出向いた蛤御門。


蛤御門で、壬生浪士組は邪険にされるんだ。
部外者扱いされて。


それで鴨ちゃんが大暴れして、
中に入れて貰うんだっけ。






ちゃんと無事に帰ってくる。





歴史上も、鴨ちゃんたちは
無事に帰ってくるのはわかってる。




わかってるけど……
不安で締め付けられそうになる
この心は拭えないよ。






自室にこもり、
一人、手をあわせる。




柄でもないのに両手を合わせて、
神様に必死に祈り続ける。






鴨ちゃんたちが花桜が無事に、
帰って来てくれますように……と……。






ただ待つだけの時間が
こんなに長くて苦しい時間だなんて
思いもしなかった。









日々を必死に足掻き続ける
私たちのうえに、時は無常を刻み続ける。






止まることのない幕末の歴史は、
何者に邪魔されることなく
運命(さだめ)を描き続けていた。