ったく……。
悲しいのに、
何も出来ない自分が悔しくて。
でも……私は、
見守るって決めた。
鴨ちゃんの覚悟、受け止めるって決めた。
だから……ちゃんと笑って、
この時間も歩いて行かないと。
お揃いのだんだら羽織を身に着けて、
藩からの命令を待ち続けるその間も、
邸内の不穏な空気はおさまる気配がない。
近藤さんラブリーの鬼の誰かさん。
その人の射すような視線が、
鴨ちゃんを突き刺しているのがわかる。
そんな視線すら、
鴨ちゃんは気づかぬふりで。
その殺気の視線の意味は、
私が一番わかってるから。
でもね……土方さん。
新選組の為の礎になるために、
わざと嫌われ役をかってでてる鴨ちゃんの本性を知って、
それでも斬りたいと思う?
見つめる先には、
鴨ちゃんが無心に酒を飲み続ける。
鴨ちゃんの周囲には、
近藤さん、土方さん、山南さんが
難しい顔をしながら共に同じ部屋で座って。
……何でそこまで出来るのよっ!!……。
それでもその場所に居続ける
鴨ちゃんの未来。
鴨ちゃんの姿を見続けることが出来なくて、
最後のお酌を終えると、その場所を離れる。
……ごめん……鴨ちゃん……。
その場所を離れて、炊事場まで一気に走っていくと、
炊事場の壁に握りこぶしを何度かぶつけながら涙を流す。
声をあげて泣く私に
花桜が背中をさすってくれた。