何時もと変わらない朝。

だけど……いつもよりも重い朝。


『近藤さんも、土方くんもまだ決めつけるのは
 早いのではありませんか?

 山波くんも、そろそろこの世界で生きる
 覚悟を決めて頂かないといけませんね。

 この場所に留まると言うことはいつか、
 お友達とも一戦を交えるかも知れないと言うこと。
 
 山波くん、貴女はどうしたいですか?

 この先も、この場所でお友達と戦うかもしれない
 リスクを伴ったまま歩き続ける覚悟はありますか?』


今の主である近藤さんをはじめとする上の人たちに囲まれて、
この世界に生きるか否かを問われた昨夜。


私は決めた。


この世界に生きることを。


この世界で、精一杯私が出来ることをする。


私の意思で、この世界を歩いていく覚悟。


それは何時敵対して戦うことになるか
わからない……舞の存在。



そして、もう一つの問題は瑠花。

今は一緒に行動していている近藤さん派と芹沢さん派。


だけど、最近の芹沢派の行動に不満の声が上がっている
近藤さん派の隊士たちが居る今、
この二つの派閥はいつどうなってもおかしくない。


この二つの派閥が内部でいがみあうことになったら、
瑠花はどうするんだろう。




そんな状況下で決意した私の言葉の重みは、
想像よりも遥かにズシリと響くわけで。





舞も瑠花も守りたい。
その本音に嘘偽りはない。



だけど、それだけじゃ、時代に流されるだけじゃ
この世界から帰ることなんて出来ないのかもしれない。


そんな決意の夜から、一晩が過ぎた今は朝。
だからいつもと同じで、何時もと違う朝。


布団から体を起こして畳むと、
部屋を後にして着物の袖をたすき掛けに結びあげる。



炊事場にいって、朝食の準備を手伝って庭掃除。


そして……次々と隊士たちが朝稽古に起きだす頃、
私も屋敷内の床掃除にとりかかる。



何時もと変わらない日々。



そんな中、確実に変わってきたものと言えば、
新選組の彼らが私に接してくれる態度。