「鴨ちゃん?

 充分だって……まさか……」

「あぁ。

 今の壬生浪士組に俺たちは害をす存在以外の何物でもない。
 もともとは寄せ集めの俺らだ。

 時が来るまで、多少暴挙に出ようが
 あいつらを守るやつらが必要だったんだ。

 あいつらは近藤を軸にして、まとまり始めた。

 俺が暴れることによって、
 あいつらは……今以上に結束を固めるだろうよ。

 俺を殺るように自らで仕掛け、煽ってきた。
 それが成就することを瑠花は俺に教えてくれた。

 この場所に来た時から、この命の幕引きは決めていた。

 だから……泣くなっ。

 瑠花は……お前は、俺の夢が叶う時笑って見送れ。

 俺は壬生浪士組の礎として祈願を成就させる」
 
 


語られる鴨ちゃんの思い。




それはドラマで語られるどれとも違っていて、
温もりに溢れた言葉。





そして……不器用な鴨ちゃんらしい
目指す場所。



「……馬鹿っ……。

 笑ってなんて……
 笑ってなんて見送ってあげないんだから」





そう。


笑ってなんて見送ってあげない。






その言葉の裏には私の決意を止めさせる
優しさもうかがえる。







「……瑠花……。

 月を聴かせろ」





涙を必死に隠そうとする
私に……鴨ちゃんは『月を聴かせろ』と一言。





その月が……
空に浮かぶ月ではなくて
遠い未来のことだと
なんとなく感じているような気すらした。






「じゃあ、次は
 何の話しようか……」




両手で涙をぬぐって鼻水をすすり上げると、
鴨ちゃんに、笑いかけて明るく話しかける。



全てを受け入れて望む未来の為に
動き続けてる。




そうまで言われたら私は……
それを自分のエゴでとめることなんて出来ない。