私がこの世界に来てしまったから。






「大丈夫……。

 私の存在がこの世界を狂わせたの。

 私の存在は、
 真っ赤な血に染まっちゃった。

 鴨ちゃんたちは私を助けてくれた。

 それは知ってるよ。

 だけど……服を着替えても
 血の匂いが消えないの。

 何を着ても私の目には、
 真っ赤にしみついたその血が……映る」





そう……。




着物を脱いで着替えても、
制服に袖を通しても。




私の体に着いた赤い血は
消えることがない。




「だから……私、決めたよ。

 私の存在はもう歴史を変えてしまった。

 だったら私が鬼になって、
 鴨ちゃんを……鴨ちゃんを助けて見せるから」 




そう。




鴨ちゃんを助けて見せる。


今、この世界で
私が一番大切なのは鴨ちゃんだから。



それは……恋とは程遠い感情かもしれないけど
鴨ちゃんが居てくれたから今日まで私は守られてきた。


花桜のように一日中、屯所内の仕事を
押し付けられるでもなくのうのうと過ごしていられた。



だから……。




鴨ちゃんに仇なす者は
私が……葬る……。







「おいおい。
 気負うなってお前に鬼は似合わねぇよ。
 
 笑ってろ。

 アイツらの夢の為に。

 それに……その未来がわかっただけで
 俺は十分だ」




えっ?