食事をとらなくなって
どれくらいの時間が過ぎただろう。


この世界に私の居場所はない。


ううん……自業自得。



私が自分で、この世界から遠のいて行ってる。


あの日を境に、
この部屋には花桜以外近寄らなくなった。



後どれくらい、この場所で
自分を追い込めば私の世界に戻れるの?




誰か……誰か教えてよ。




毎日願い続ける元の世界への帰り方。



どれだけ祈り続けても
決して、その道が開くことがない。



枯れるまで流し続けた涙。





時折、部屋の障子をあけて空を見上げる。




あの空が開けば、
私は……帰ることが出来るのに……。



今日もボーっと空を見上げる。





「入るぞ」



ふと……声が聞こえて、
私の向かい側にドシっと腰を下ろす。



「……鴨ちゃん……」




思わず呟いてしまったその言葉に
両手で自分の口に手を添える。



「瑠花、その鴨ちゃんってのはなんだよ?

 月の呼び方か?」



怒ってる風でもなく、
砕けたように豪快に笑いながら
話しかけて来る鴨ちゃん。