山南さんの穏やかな声が、
さらに逃げ道を寸断するように
私自身を追い込んでいく。
 



舞が……長州藩士たちと一緒にいた。



それがどういう意味なのか、
私には、はっきりとわからない。


こんなことになるなら、もっと歴史を
勉強しておけばよかった。



ただ一つ。

ただ一つ、言えることは
この場所は……私たちが住んでいた
現在ではないと言うこと。


私たちが住んでいた現在ではない。


だからこそ……その道が離れていくこともある。



舞も瑠花も守りたい。

守りたいよ……。



そして……この場所で出逢った
この人たちも。



背筋をまっすぐに伸ばして、
一呼吸おいて焦らないようにゆっくりと告げる。




「私は……この場所で、
 ここで歩いていきます」


「今、舞があらわれてお前にアイツが
 斬れるのか?」



思った通り、
土方さんはそうやって言うと思ってた。



「すぐには斬りません。
 舞と話し合います。

 話し合って、説得したうえで
 お互いの道が遠のいてしまったその時は
 私の……誠において覚悟を決めます」




そう。



それが……私が、
この世界に生きる覚悟。



願わくばその道が、
遠のくことがありませんように。


この声が届かぬことがありませんように。