八木邸を出て、瑠花が舞と
出逢った場所へと向かう。


そこには舞の姿は当然ながらない。



「山崎さん、今日は観察のお仕事は?」

「夜まで自分の時間や」

「今は何の仕事してるんですか?」


ずっと気になるのは観察の仕事。


いつも留守がちで、いないなーっと思えば
気が付いたら帰って来てる。
 


「花桜はまだ知らんでえぇよ」



知らなくていい。


そう言われた言葉にチクリと伴う痛み。


まだ私は得体の知れない子だから……。


信頼されるには程遠い。
そう言うことなのかな。


山崎さんと二人で出掛ける京。
舞を見つける気があるのかないのか。 



あっちにふらふら。
こっちにふらふら。




「もうっ。
 
 本当に舞、探す気あるんですか?」



寄り道するたびに、目くじら立てて、
怒る私を見て、笑いながら『ごめんごめん』って。


掴みどころがなくて、振り回されてばかりで。



でも……そんな山崎さんだからこそ、
何時の間にか気が付いたら思い悩んで居たことも
スーっと取り除いてくれてる。


一人で出来ないリフレッシュを
手伝ってくれるみたいに。



「花桜、花桜、
 どれがええ?」


ずらりと並んだ貝殻。


貝殻には、綺麗な絵が描かれてあって、
中には……真っ赤な塗料が塗られてある。