突如、天に向かって放たれた銃声。

二人の間には銃を両手に持った
晋作さんが、険しい顔をして双方に目を光らせている。


「気がそれた」


短く言い放つと、
栄太郎と呼ばれたその人は
刀をおさめて静かにその場から立ち去った。



追いかけようとした斎藤さんに再度、
銃を向けて威嚇する。



「舞、こっちに来い」



晋作さんに言われるがままに、
私は二人がいる方へと歩いていく。


「今日のところは引き上げましょう。
 
 斎藤くんだったね。

 舞を送り届けてくれて感謝しますよ。
 次に会うときは、遠慮はしません」




えっ?


義助さん……さっき、
なんて言ったの?


次に会うときは遠慮はしないって。

それって……どういう意味?



そのまま……、二人に連れられながら
その宿を離れる。


次に会うときは遠慮はしない。


確かに義助さんがそう言ってた。




って言うことは、瑠花さんと花桜さんとは
敵同士だと言うの?


義助さんと晋作さんの他に、
この世界で仲良くなれた存在なのに……。



新しい宿に入った後、晋作さんは、
また何処かへと出かけていく。



残された部屋には仕事中の義助さんと私の二人。


暗闇の中、ほのかに揺らめく蝋燭【ろうそく】の明かり。



「あの……教えてください」


思い切って質問する。

義助さんたちは、
今……何をしようとしているのですか?

それを知ったら最後、私も後戻りは出来ない。

何も知らなかった私には戻れない。


だけど……それじゃダメだと思うから。


私はこの世界を、
自分の足で歩いて行かないといけない。



何時までも義助さんと晋作さんに
助けられてばかりだといけない気がするから。


義助さんは暫く考え事をした後、
今、義助さんたちが何をしようとしているのかを
教えてくれた。