「ひでぇこと、しやがるな。
 沖田、瑠花を辱めたヤツを生かすな」」






えっ?


鴨ちゃん?







何?



「言われなくてもやりますよ」



そんな声が聞こえた後、
何処かへ駆けていく音だけが
聴覚を刺激した。



「瑠花大丈夫か?」



鴨ちゃんの声を聞いてたら
凄く心が落ち着いていく。



何時の間にか……こんなにも、
鴨ちゃんの声に安心してる私がいる。



やがて手が自由になり、
視界がクリアになっていく。



生ぬるいものがか、
触れた頬に指先をあてると……
赤い血が指先を染めた。


……血……。




そのまま視線を向けた先には、
切り殺された数人の体が転がっていた。







「…………」





私が……捕まったから、
私に関わったからあの人たちは殺されたの?



私がこの世界に来て勝手に動いて、
歴史を変えてしまったから?





目の前の惨状に、
震えはじめた体は
止まることを知らない。






「後、始末しとけ。
 瑠花帰るぞ」




動かすことが出来ない体は
鴨ちゃんが、ひょいと抱きかかえる。







こんなはずじゃなかった。




誰かを犠牲にしたいんじゃないの。





鴨ちゃんを助けたかっただけ。
助けたかっただけなんだよ。



なのに……それすら神様は許してくれない。






ねぇ……だったら、
どうして……私たちをこの場所へ
連れて来たの?






平凡なあの日々に帰らせて。