芹沢さんたちが暴れたあの日、
土方さんたちは隊士を慌てて屯所を駆け出して行った。


壬生浪士組の面汚し。


近藤さんたちは会津藩邸に呼び出されたり、
局中法度っと呼ばれる組の決め事などを決めるのに
慌ただしく動いてた。



私は相変わらず小姓として、
朝から晩までクタクタになるまで
働き続ける毎日。



何処をほっつき歩いてるのか、
滅多にしか返ってこない山崎さんは、
時折帰ってきては、私を怒らせることしかしない。



一人……振り回されて
馬鹿みたいじゃん。




だけど……ギスギスした
この場所で山崎さんと、山南さんといる時間が
少しほっとしてるのも事実なんだ。



だけど……
あれから少し進化したこともあるんだ。


仕事の合間にだけど道場の空き時間に
私も使わせて貰えるようになった。


そして時折、その稽古に山南さんをはじめ、
斎藤さんや藤堂さんが付き合ってくれるようになった。


誰かと手合せ出来るのはやっぱり楽しくて。


今までやってきたみたいに、防具も面もつけてないけど
木刀を降りあげて、気合と気合でぶつけ合うのは
凄く気持ちがすっきりとした。



「山波くん。
 少し宜しいですか?」


斎藤さんと藤堂さんに稽古をつけて貰っていた道場に、
姿を見せてくれたのは山南さん。



三人の師に指導されながら
練習する時間は凄く楽しくて、
今の私の心を満たしてくれた。



今、この世界で何が起きてるかなんて、
私にはわからない。



何も話してくれないから。



それを話してもらうには、
私はまだまだ信用がなさすぎるから。




ちゃんと信用して貰わないと。

私にも……この場所で起きてることを
噂で知るんじゃなくて、
ちゃんと仲間として話してもらえるように。