「舞っ!!」





女の子が私の名前を叫んでしがみつく。





誰?
この人?







どうして、
この人は私を舞と呼ぶの?






舞という名は晋兄さんが
付けてくれた名前のはずなのに。







「おいっ、瑠花。

 本当に、コイツがお前の友達なのかよ?」





助けてくれた男の人が
女の子に問いかける。




「芹沢さん信じてよ。

 この子も私と同じ月の住人。
 花桜と私の大親友なんだって」





えっ?



月の住人?






何?





女の子が言う、
その言葉に私は頭を抱える。




相変わらず靄がかかった頭の中は
何かを思い出そうとしたら
ズキズキと痛みはじめる。





両手で頭を抱え込んで呻く私に、
私を舞と呼んだ女の子が背中をさすって、
介抱しようとしてくれる。








「舞?

 もしかして……
 何も覚えてないの?

 私や花桜のこと?」





そう言いながら、
私の体を揺さぶり始める。




「おっ、おいっ。
 瑠花、やめてやれって」

「だって……。

 芹沢さん……舞は私のこと……」




今度は女の子の方が泣き崩れてしまう。