御殿場から山を越えて辿りついた京。



京で寝泊まりする宿に入ってすぐ、
義助さんと、晋作さんは長州藩の藩邸へと
出掛けて行った。




大事な話があるから、
私にはここに居なさいっと言葉を残して。



最初は……言われるままに、
おとなしく、宿に居たんだけど
一人でいる時間は退屈で。




ふと……布袋に納めてある
御殿場の宿で働かせて貰った時の
収入を見つめる。


このお金で何が変えるかなんて
わからないけど……二人に何か、
プレゼントを送れるのは今しかなくて。



私は着替えを済ませると
一人で、初めての京へと飛び出した。



京では……不逞浪士が
大和屋を焼き払う物騒な事件が起きたばかりらしく
空気がピリピリと張りつめていた。


義助さんと晋作さんに
何をあげたら喜んでもらえるかな?




叶うなら、
ずっと長く使ってもらえる
物が嬉しいんだけどなー。




行き交う人々を見送りながら
一軒一軒、気になるお店を覗いていく。