『コイツは俺の小姓にする』

後世に新選組の問題児として
その名を連ねる名前しか知らない、
芹沢鴨に連れられて、
私は壬生浪士組の誠忠側って言うのかな。

芹沢信者の多い前川邸へと連れてこられた。

前川邸で、小姓として働かせるのかなーっと
覚悟の上で来たものの拍子抜け。


ねぇー、鴨ちゃん
アンタ、
何がしたいわけ?


態度は横柄で乱暴なんだけど、
どこか憎めない。


TVで綴られてる芹沢さんって、
もっと短気で、喧嘩っぱやくて
乱暴者っほかったんだけど。


私の目の前に居る、
芹沢さんは……芹沢さんって言うよりは
私の中では、もう鴨ちゃん。



流石に本人の前で
まだ言ったことはないけどね。


小姓として連れてこられたはずなのに
私がこの場所で最初に与えられたのは自分の部屋。


部屋って言えるほど大層な空間でもないけれど、
限りある部屋の中で、
私だけの居場所をきっちりと作ってくれる。


そして、そんな私の京での生活を
手助けてしてくれてる人が、お梅さん。


歴史の中では芹沢さんの愛人的存在。


だけど……ここで私が見る二人は
なんか仲睦まじい夫婦にも近い関係で。



「おぉ、瑠花。
 起きてたか?」


いきなり声が聞こえて障子が開く。


声の主で……鴨ちゃんだってことは
わかってる。



「はいっ」

「出掛けるぞ。
 梅に支度して貰え。
 早くしろよ」」




そう言って部屋をすぐに
出て行ってしまう。