目が覚めたら、
また……見知らぬ部屋に居た。



目の前に広がる天井。




「舞さん、気が付きましたか?」






私が眠る隣には義助さんが座っていて、
桶の中の水に手ぬぐいを浸して絞り、
私のおでこへともう一度戻した。



そして眠る布団の逆側、
晋作さんが壁に持たれるようにして
じっと見つめながら座ってた。




「馬鹿がっ。
 無理してどうする?」



えっ?



「晋作は、舞さんが旅の疲れで倒れて以来
 心配してたんですよ。

 それは私も同じですけど」



旅の疲れで倒れた。 





この言葉がずっしりと
重くのしかかる。





迷惑をかけないって
そう言って、長州から江戸へ。
江戸から、御殿場へ。



ずっとついてきたのに私、
迷惑かけてばかりだよ。





「どうした?
 どこか痛いのか?」




何も出来ない自分が悔しくて
涙が出てるくる。




どうして、
記憶がないのよ。


どうして、
何も思い出せないのよ。





舞って名前も晋作さんが
つけてくれた名前。 




私は……誰なの?