「私も気が付いたら、
 どこかの狭い場所に居たんです」

「山崎、山波拾ってきたのお前だったな。

 『副長、子猫連れ帰りました』って。

 お前が憶えてること、説明してくれないか?」


「はいっ。
 
 長州の動きを探りに忍び込んでおりました
 長州藩の屋敷内の屋根裏に突然、
 山波が姿を見せました。

 その後、敵方に忍び込んだことが見つかり暫く戦いました」




淡々と話し終わると、
山崎さんは一礼してまた後ろに控える。




花桜はと言えば、後ろの山崎さんの方に
首だけをひねってアカンベーっと舌だけを突き出してた。



ったく。
バカ花桜。



そんな花桜を見て、
思わずクスクスと頬が緩む。



「貴様、
 何がおかしい?」 



土方さんの鋭い声が空間に轟いた後、

扇子を開いたり閉じたりして
弄んでいた、
芹沢さんが音を立てて扇子を閉じた。 




「芹沢先生」



近藤さんがその人の方をまっすぐに見つめると、
目の前の酒を掴み取って一気に流し込む。



「この二人は、月から来たんだよな。
 月から来たならわかるわけねぇな。

 よし、おいっ、お前」




そう言って、芹沢さんは私を引き寄せると


「コイツは俺の小姓にする。

 近藤、そいつはお前らが小姓にでも
 しやがれ。

 それでいいだろ。

 今日は解散」





芹沢さんがそう言うと、
私は……その人に連れられて、
その部屋を後にした。





「瑠花、私は此処に居るから。

 一緒に頑張ろう。

 舞を見つけるまで。

 約束だよ、
 瑠花っ!!」





背後で私の名前を叫ぶ
花桜の声を聞きながら。