「連れて行ってください。
 その話し合いの場所へ」




一言も喋らない山崎さんによって、
暴れられないように、両手を縛りあげられると、
そのまま紐で縛られたままに目的の部屋まで、
連れられていく。





「山崎です」




部屋の外で、声をかけると、
中から襖がゆっくりと開いた。
 




そこには……
芹沢さん、山南さん、そして土方さん。


新見さん?らしき存在が座っていて、
芹沢さんの向かい側には、
もう一人、見慣れない人が座ってた。





多分……
あの人が、近藤 勇。





「女を中に入れろ」



言われるままに部屋の中にいれられた、
私と花桜は五人に囲まれた真ん中に正座させられる。




集団リンチじゃないんだから。




私たちの後ろには紐を持ったままの、
山崎さんが静かに控える。





「早速だが、
 名前を教えてくれるか?」



近藤さんっぽい男の人が口を開く。



「かっちゃん、

 名前なんか聞いてる場合じゃないだろ」

「歳、そんなに怒鳴るなって。

 名前を語りあわねば腹を割って話し合うことは
 できんだろうが。

 俺は、近藤勇。
 
 そして、この方が芹沢先生。
 その隣が新見さん。

 俺の隣、コイツは、歳。
 いやっ、土方。

 こっちが……山南さん。

 君たちの縄を持っているのが、
 山崎くん。

 君たちの名前は?」



近藤さんの言葉と共に、
視線が二人に集まる。




「私の名前は山波 花桜。

 皆は、花桜って呼ぶ。

 で、こっちが私の親友」

「岩倉 瑠花です」



花桜につられて私も名前を告げた。



「後、もう一人…… 加賀 舞って子も
 いるはずんだけど今は行方が知れなくて」

「やまなみっていやぁ、
 山南さんのもう一つの呼び名もそうだな」



土方さんが、しみじみと
考え込むように呟いて山南さんを見つめる。



「土方くん。

 生憎、私の身内に花桜と言う娘がいる情報は
 とれていませんよ。

 まず、岩倉さん。

 昨夜、沖田くんに会うまでの
 出来事を話していただけますか?」




花桜が話そうとするのを制して、
ゆっくりと、その時のことを振り返る。




「気が付いたら、
 見知らぬ場所に居ました。

 どこをどうやってきたのか
 わかりません。

 ただはぐれた、
 花桜と舞を探したくて
 歩き回ってました。

 そこで出会ったんです。
 沖田さんに……」


「そうでしたかっ。

 それで山波さん……貴女は?」




次に視線は、
花桜の方へと向けられる。