監察の仕事の途中で経た長州藩士たちの亡骸の行方。


山崎さんが聞いた情報によると、福井藩の人たちが、
松平春嶽公の許しを得て福井藩の菩提寺でもある
上善寺に葬ったとの噂を仕入れて来てくれた。


そしてもう一つ。
その首塚に義兄のものは入っていないとか。


どっちにしても噂の域を出ることはなくて、
真実は自分で調べてみないとわからない。


そのまま山崎さんは、職務に戻り瑠花に捕まった沖田さんは、
私たちの部屋に姿を見せた。



「総司が付き添ってくれるって」


にっこり笑う瑠花の隣、少し困り顔の沖田さん。


「すいません。
 私の我儘で……」


そう言って謝罪すると沖田さんは「構いませんよ。瑠花に使われるのは慣れました」
っと溜息と共に吐き出した。



その後は、四人で屯所を抜け出して鷹司邸を真っ直ぐに目指す。



瓦礫の山とかしたその場所で、
私たち三人は必死に炭化した木を持ち上げる。


大きな柱は炭化して、
全てが変わり果てた姿になったその場所。



それでも少しでも手がかりを見つけたくて、
私は両手で、瓦礫を掘り起こしていく。



何度も何度も、少しずつ。
そんな私に瑠花と花桜も付き合ってくれる。




「誰か居るのかい?」




ゴソゴソとした物音を聞いてか何人かの声が聞こえてくる。


その声が聞こえた途端に緊迫する空気。


沖田さんと花桜は、すぐに抜刀できるようにと、
反射的に刀に手をかける。



「瑠花、僕の後ろに」



小さく囁くと、瑠花は言われるままに
慌てて後ろへと移動する。



「二人とも、こちらに敵意はない。
 刀をおさめてほしい」



その声は、聞きなれた斎藤さんの声に間違いなくて。



灯りを遠くに掲げて、向こうの人影を確認すると、
そこには確かに斎藤さんの姿が確認できた。



「一君」

「総司……。
 加賀、岩倉来ていたのか」

「はいっ。
 瑠花が頼んでくれて、沖田さんが護衛してくださったので」


そう言うと、斎藤さんはお連れさん共に一気に距離を詰めた。
それを確認して、花桜と沖田さんも刀から手を放す。 


「こちらはお辰さん、久坂玄瑞と親しかった人だ」


そう言う風に私を紹介する斎藤さん。