約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く




義兄の死から数日が過ぎた。

鷹司邸。


あの場所で、義兄と一緒にこの命が果てるなら、
それでもいいとさえ思ってた。


だけど瑠花と沖田さんによって生かされた私。

義兄の分まで、生きてこの世界を見届けたい。


流されて生きるのではなく、私自身が全てを決断して、
力強く歩いて行きたい。

義兄が居なくなった歴史も事実も変わらない。



変わらないけど……悲しいけど、
義兄はいつも近くに居てくれる。


そんな風にすら思えて、今穏やかに過ごせるのは、
多分、瑠花が言った『見届けること』。


その意味と役割が、
かなり大きいのかもしれないと思えた。



朝、自分の部屋から外に出て庭へと下り立つ。



空を見上げながら深呼吸すると、
眩しい太陽の光が私に注ぎ込む。





ねぇ、義兄もう泣かないから。

ちゃんと貴方を探し出して助けるから……。




空を見上げながら、小さく話しかけた。

キイっと音を立てて勝手口のドアが開く。
慌てて、その方向へと視線を向けた。


「もういいのか?」



ゆっくりと外から朝帰りの斎藤さんが
私の方へと近づいて問いかける。




「はいっ。

 立ち止まっては居られませんから。
 あの……隊から勝手に抜けて別行動してすいませんでした」

「納得できる別れが出来たのか?」


更に言葉を続ける斎藤さん。


納得出来る別れ。


そう言われると、何が正しかったのか、どうすれば納得出来たのか
そんなものは即答できるはずもなくて。



「納得出来るかどうかは、正直わかりません。
 ただ……見届けることだけは出来ました」

「そうか」

「あっ……あの、近藤さんや土方さんに謝りに行く方がいいですか?
 隊を離れて……」

「行く必要はない。
 局長にも副長にも話はすでに通してある。

 加賀は俺の指示で別行動した。
 その別行動の共に、岩倉が付き添い、沖田さんが護衛として付き添った」



さらりと返って来た言葉に私は絶句する。



また……助けてくれた……。
この人って?