「あの……。

 ここ、
 何処ですか?」



突然、そう尋ねた私にびっくりしたのか、
その人は、私の額に手を触れる。



「熱、出てへんな」

「ほぇっ?」



戸惑いのあまり、
間抜けな声を出してしまう。



「頭、打ったりしてないか?」


続いて、両手で私の頭を
ガシっと掴むと髪をかき分けながら
何かをしてた。



「あのっ。

 別に頭なんて打ってません」


「打ってない言うてもお前、
 今、何処かわからんのやろ?

 記憶……なくなったんか?」



目の前で、ふざけた態度をとりながらも
冷静に私のことを分析している観察力。




誰……この人?




ゆっくりと深呼吸をして
まずは自己紹介からだよね。



この場合。




一応、この人……私のことを
助けてくれたみたいだから。



「記憶喪失じゃないです。

 初めまして。

 私、山波花桜
 (やまなみ かお)です。

 友達と逸れてしまって……。

 私の他に二人いませんでしたか?」





二人と会わなきゃ。





「いやっ。
 
 降ってきたの、
 花桜だけだし。

 オレは、山崎」




名前を名乗った、
山崎さんに初めて頭を下げた。