「まけたか……。

 しつこいんだよ。
 しつこいのは嫌われるって知んないのかねぇー」



一人……また呟きながら、
片手で支えていた私をあろうことか……
お姫様抱っこに抱えなおして行き詰った屋根から、
そのまま下に飛び降りた。




「きゃぁぁ」




突然のことで、
咄嗟に目を閉じる。




「あのさぁー。

 お前、きゃーって悲鳴ばっかあげてないで
 なんか言うことないの?」



呆れたように紡がれた言葉の後、
私はお寺っぽい境内の見える庭先へと下ろされた。






えっ……。





これ、何処?






さっきから今、自分の身に
起きたことばかり整頓するのに夢中になって
状況整理が……追いつかないよ。




私……。



確か……瑠花と舞と一緒にケーキ食べに
行くことになって。



歩いてたら、そうだ……雷。



雨が降って、雷が鳴って空が割れたんだ。





その中に吸い込まれた……。