約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



あの日から、
ずっと血の色が消えることはない。


池田屋で自分の意思で倒さなきゃ、
殺さなきゃって思って沖影を振るった、
剣の重みと肉を突き刺す感触。

切っ先が皮膚に触れた時に、
スーっと流れ出す血が広がっていく筋。

そして……返り血が肌に触れた感覚。





必死に振るい続けたそれは、
紛れもなく、殺人と同じ。




殺人……、人殺し。





沖田さんを瑠花に預けて、
屯所に戻った私が真っ先に直行したのは井戸。



井戸水を汲み上げて何度も何度も手を洗って、
着物を洗って、山南さんから借りた羽織を洗って。



どれだけ手洗いを繰り返しても、
その血の色はなかったことにはならない。





フラフラになるまで洗い続ける私に、
山崎さんが井戸から引き離して、
私の部屋へと連れて行った。




一人、部屋に閉じこもって
灯り一つつけることのない部屋の片隅で
ボーっと過ごし続けた一晩。



眠ろうとしても、
同じ感触と景色が何度も何度も脳裏に思い浮かぶ
今、安眠なんて出来るはずもなく
朝になると、その自室から逃げ出すように
一日の予定を機械的に消化していく。




休んでる暇なんてない。


逃げ出す場所もない。


自分で決めて
私は人を殺したんだから。






どれだけ洗っても、
掌の紅い血は消えてくれない。